毒親育ちが自分本来の誇りを取り戻すために  ⑲

優しさも、冷たさも、循環している

 

地球の生態系は、循環だ。

 

私達人間はこの世に生まれ、気づけば人間社会の中で人間として生きているけれど、誰もがいつかはその生が終わる。

 

人間の神秘というのは考えれば考えるほど謎だらけであり、コントロールの及ばない神秘の領域は「神」と呼ばれたりする。

 

その真実は知る由もないけれど、大いなる何かの力によって生態系の循環の中で自然の一部として生かされていることは確かだ。

 

考えて答えの出ることについては考えることも必要だが、

考えても仕方ないことは考えない、というのも健全に生きる上では大事なことだ。

 

 

毒親毒親たる理由については、ある程度考えれば現実的に原因のようなものは探し出せたりする。

 

毒親もまた、幼少期から過酷な試練を与えられた中で何とか生き延びていたりするから、毒親の子供の頃やそのまた親である祖父母や、そのまた親である先祖までさかのぼって延々と辿っていくことになる。

 

が、祖父母以上になってくるとリアルに知ることが難しくなってきて、だんだん現実味が薄れてきて事実もよく分からなくなってきたりする。

 

そもそも時代背景も今とは全く違ってきてしまうから、同じ土俵で比較することすら遡るほどに難しくなってくる。

 

その時代の影響を強く受けて育まれる、世代による価値観の傾向というのもある程度はあるだろう。

 

 

昔ほど「家族」「親戚」の付き合いは生きる上で優先順位は高くなくなってきている。

 

だがきっといつの時代であっても「家族」は味方として上手く機能していれば、心強いものであり、自分を助けてくれたり励ましてくれたり、頑張る源になったりするのだと思う。

 

だが、上手く機能していないとそれは「影」となり「闇」となり、そのドス黒い感情を放置しているとその行き場のない感情は暴れ、心身を蝕んでいってしまう。

 

だがその影も闇も、それすらも自然のサイクルの一部だ。

 

毎日当たり前のように昼と夜がある。

 

樹木の上から太陽が当たればその樹木に隠れた地面に影が出来るのも当然だ。

 

自然から教わる、私たち人間が大切にすべきことは決して「影」や「闇」を忌み嫌って避けることではなく、自然と同じく「バランスや距離を適切に保つこと」なんじゃないかと思う。

 

 

人というのは、基本的にあまり考えずに生きているとどうしても楽な方に流されていってしまいがちだ。

 

そして人というのは、基本的に自分がされたことは考えなしに人にしてしまいやすいという性質がある。

 

冷たく育てられた人は、人に冷たくしてしまいがちだ。

 

愛情豊かに優しく育てられた人は、自然と人に優しくできる。

 

余裕のない暮らしは、余裕のない言動に表れる。

 

見下す親に育てられた人は、人を見下してしまいやすい。

 

そうして人もまた循環していく生き物だ。

 

 

考えなし、というのはある意味「無意識」の領域であり自覚に乏しい感情や気持ちのことだ。

 

だが、何かのきっかけで案外それは「無意識」ではなかったりすることに気づく人もいたりする。

 

気付ける時というのはある意味「自分にも厳しい」目線を持てる時。

 

そのきっかけというのは大体においてネガティブな何かしらの出来事だったりする。

 

厳しい目線を持って「見たくない自分の醜さと向き合う」という作業はなかなかしんどくハードでもある。

出来ればそんなものには蓋をしてみたり、目を背けて逃げてしまいたくもなるのも人間だ。

 

自分に対してある程度厳しい目線を注げるということは、負の連鎖を断ち切ることのできる強さも持ち合わせているという事でもある。

 

 

だから、ネガティブな出来事というのはそういう意味ではチャンスでもある。

 

とはいえ、起きることの全てをそんな風に頭で考えて意味づけしなくてもいいけれど。

 

スパルタすぎると「責める」こととも紙一重になりやすいから注意も必要だ。

 

自分を責め続けないようにするために大切なことは、意味づけの前にまずドス黒い自分の感情にも寄り添うことだ。

 

臭いものに蓋をしたまま無理やり抑えつけると、どんなに隠したつもりでもどこからかふと腐敗臭が漏れ出てしまう。

 

自分の弱さ、醜さから目を背けるのではなく、弱さも醜さもそのままに存在する生身の自分を認めることは自分と人を守るためにも大切なことだ。

 

 

理想は、自分にも、人にも、「優しく」だ。

 

 

世の中は循環だ。

 

優しさを循環させられる人であるためには、時に自分に厳しい目線を持つ強さも必要だ。

耳が痛いけれど、がんばろう。

 

 

 

 

続く