自分を救えない人は他人を救えない  前編 ~愚者は経験に学ぶ~

病んでる者は藁をも掴む

 

まさかの坂が重なった30代、人生の迷子になっていた。

 

小さい頃から教えられてきた宗教的教えの呪縛も抜け切れていなかった。

 

「愛」とか「平和」とか「救う」とか「地球規模」「社会貢献」とか

優しくて、壮大で明るい希望に満ち溢れる言葉に吸い寄せられ、とある自分磨き系セミナーに入った。

 

 

だが初日から、モヤモヤした。

 

それがよくあるマインドコントロールの手口だとは気づかずに、一人でモヤモヤを抱え込んでしまった。

 

もしかしたら新たな友達も出来るかもしれないという希望も、わざわざ辞めなくてもいいかなという迷いもあった。

 

でも、その迷いによってジワジワと精神が蝕まれていた。

 

体調を崩した事で、目が覚めた。

 

 


信じるか信じないかはあなた次第

 

まぁまぁの大金を払って得られたものはなんなんだろうか。

 

教団への忠誠と、教祖や取り巻きへの憧れと、信者同志の結束と更なる献金

(わかりやすく宗教に例えて書いてます)

 

お金も時間も差し出し、更には考え方、生き方まで否定された気分だった。

 

金銭を払う対価として物が残ったわけでもない。

 

手元に残ったものといえば、加速した人間不信と壊れた心とバランスが崩れた体調と自己否定感。

 

そんな惨めのオンパレードは、自分の愚かさを認めるようでしんどかった。

 

悔しくて怒りの気持ちのやり場に困った。

 

相手の存在そのものを否定するのはちょっと違うという事は頭では分かっていた。

 

距離を置き、時間の経過と共にそういったドロドロの感情を持ち続ける事は自分にとって優しくない事なのかもしれないと思うようになってきた。

 

それらの類のビジネスは違法な事をしているわけでもなく、合法的な商売で稼いでいるだけだ。

 

実際に、最後まで満足して受講しながら卒業してった人もいるだろうし

未だ救われている信者達もいるのだろうから。

 

相手のせいではなく、自分の気持ちが変わってしまっただけだ。

 

その時は救われていたのだから。

 

 

キラキラと、ボロボロ

 

お金が渡った先の教祖の生活はよりキラキラと潤っただろう。

 

ビジネスでいえば、利益率も非常に高い商売だという。

 

大金払う側の費用対効果は疑問だけれども・・。

 

安易に入ってしまった結果、私の生活はさらにボロボロになった。

 

だが私の元々の動機も、曖昧でフワフワしていた。

欠乏感と歪んだ自尊心が引き合ってしまったのかもしれない。

 

幸せの青い鳥を探している受け身の人間はいいカモだ。

 

気づかない限りは、どこまでいっても同じ事の繰り返しだったんじゃないだろうか。

 

 

今手元にあの大金があったらブランドバッグとか名作アートとか、贅沢品買えたなー。

今の私にとったらその方が気分も生活の質も上がるのは間違いない。

 

物欲があってよかった。健康に生きている証だ。

 

 

経験と反省と地道な努力は愚者を救う

 

壊れた心と身体を元の健康な状態に戻すまで、時間がかかった。

 

その休息と地味な日々の中で色々見つめ直す事になり、自分にとって何が大切で、何が大切でないのか。

色々決断するきっかけにもなった。

 

心身の健康を維持するために必要なことにも気づかせてくれ、それは自分を救う事でもあった。

 

 

モヤモヤを抑え続けてしまった当時の自分を叱ってやりたいが、そこまでいかないと気づけなかったという事だ。

 

人生はそういうタラレバなんかに縛られていたら生きていけないほど、無数の選択の連続で成り立っている。

 

前に進んでいくには常に今がベスト、と思い続けるしかない。

 

厳しい言い方をしてしまえば、そこを選択した事、逃げる勇気を持つ事も続ける辛抱を選ぶ事も、全て自分の選択の結果が目の前の現実なのだ。

 

反省点を挙げるとすれば、責任があるわけでもないのだから初日に感じた違和感と不快感に素直に従って即辞めてしまえばよかったのだ。

早いほどお互い傷も浅かったのに。

 

逃げるが勝ちとはよくいったものだ。

 

モヤモヤは、我が身を守る防衛本能だ。

 

無視をし続けてはいけない。

 

限界を超えろというコントローラーの声は無視をしていい。

筋トレじゃあるまいし。

 

心身を壊しても責任は誰も取ってくれない。

 

そうして失敗からの教訓がまた一つ増えていき、選択の引き出しが増えていくのが人生というものなのかもしれない。

 

愚者は経験に学び、失敗と反省を重ねながら経験値を上げていくしかないのだ。

 

 

 

中編へ続く