許すこととは何なのかを考えさせられたこと 〜前編〜

許すか許さないかは自分が決めること

 

遠い昔の苦い経験。

若かりし頃に当時親友だと思っていた人から意外な時に不意に心無い言葉を言われたことがあった。

 


メールのやり取りだったので余計にこじれた。

が、文字でもそれは明らかに意地の悪い言葉だった。

 


お互いの住んでいたところも遠距離で、すぐ会って顔を見て話す事も出来なかった。

 


そう簡単に怒ることのない私だがその時は珍しく怒った。

 


その後に「許してよ」とか「水に流して」と言ってきたその言葉に私は更に傷ついた。

 


謝るどころか更に相手を舐めきった言動に、発火した怒りが鎮火するどころか更に炎上してしまった。

 


そんなの私が決めることじゃ!!と。

 


相手は滅多に見ない私の苛立ちに多分焦っていた。

 


ひたすらに、自分はそんなつもりではなかったという言い訳のような言葉を並べていた。

最初の言動については謝罪をするわけでもなく、むしろ自分を正当化し始める言い分を繰り返した。

 


流してくれない私に対して半ば逆ギレだったのかもしれないが、私はそれが受け入れられなかった。

 


下手に自分の失言を認めず正当化するところに、誠意や私への気持ちが感じられなかった。

 


しかも色々と大変な時だった。

そんな時にまさか、親友から追い打ちをかけるような言葉が飛んでくるとは、という方のショックが大きかった。

 


それまでの長い年月で育んだはずの友情も一気に色褪せて見えた。

 


人間不信になりかけていたところへ、最悪の強烈なパンチを喰らった気分だった。

 


タイミングが悪かったと言えば、それもあるだろう。

 


もしも違う時だったら、リア充万歳みたいな絶好調の時だったら、そしてリアルに顔を見て話せていたら。

もしかしたら同じ言葉でも、聞き流して吹き飛ばせていたのかもしれない。

 


人生は山あり谷あり、波のようにバイオリズムってあるもので、重なる時はなぜか重なるものだ。

まさに「泣きっ面に蜂」「弱り目に祟り目」だった。

 


言った方は軽い気分でそんなことくらいでと思う事であっても、言われた方はそうじゃなかったりする事って、きっと世の中には沢山あると思う。

 


誤解もあったり、タイミングも大切だったり。

 


いちいち人の言動を気にしていたら生きていけないけれども、見過ごせない事も時にはあるし、流せない事もある。

 

 

 

人付き合いのベースは支配ではなく尊重

 

私は、放った言動は巡り巡って自分に返ってくる、と思っている。

 


だから、自分から不用意に人を攻撃するようなこと、意図的にわざわざ意地悪で傷つけるようなこと、不快にさせるようなこと、はなるべく言わないように気をつけて生きている。

 


それは人の為の立派な志というわけではなく、自分が後悔を抱えながら生きていくような惨めな自分でいたくないためだ。

 


もちろん、意図せず誰かの心を不意にえぐってしまっている事もあるかもしれないし、自分がそんなに出来た人間でない事も分かっている。

 


万人に好かれるのは無理だし、知らないところで誰かに嫌われたり、傷つけてしまうのはある程度致し方のないことも承知している。

 


だからこそ「意識して気をつけている」

 


意識があるのと無いのとで変わってくると思う。

 


日頃の心がけは不意の言動に出るから、心がけは大切だ。

 


自分からわざわざ醜い事を言わないように気をつけているが、だからといって誰かから攻撃されてずっと黙っていられるほど立派な人間ではない。

 


無駄に戦わないためにありとあらゆる「防御」はするが、ある一定の線を越えてくる人がいたらそこはたとえ身内だろうと親友だったとしても、容赦なく徹底抗戦をする。

 


相手を尊重せず、人の誇りを奪うような言動が見られた時点で、その関係を無理に継続する必要はないと思う。

 


心地よい関係、健全な関係は、年齢や立場に関係なく「人として」対等だし、尊重し合えないところに相互の心地よさは存在しない。

 


対話の意義って、相手を理解しようとお互いに努力する事で成り立つものだ。

自分と違う相手を責めて思い通りに言い聞かせることは対話ではなく支配だ。

 


支配できない相手を一人の違う人格として尊重する。

コントロール下にいない事をきちんと理解して、相互の自由意思を認めているのが健全な関係だ。

 


もしも、今目の前にある関係でそのどれかが欠けていたら見直すべき時なのかもしれない。

 


相手に変わる事を期待しても相手は変わらないから、自分が変わるしかない。

 


それも言葉ではなく行動で。

 

 

 

中編へ続く